島に輝く宝石のような一棟 ― ユニークなホンカの別荘
目次
・海の見える完璧な別荘
・ホンカ・デザイン・サービスとの設計
・空間を彩るユニークな選択
・美しいディテールが光る空間づくり
「いつか家族で過ごせる別荘を建てたい」——そんな長年の夢を、南西フィンランドのパイミオに暮らすエリサとトニが、ついにキミトオン島に完璧な土地をみつけました。島では、群島の自然を味わうことができます。その海に面した岩場の上に、全面ガラス張りのログヴィラを建てたのです。
フィンランド南西部で理想の土地を探し続けていたエリサとトニが出会ったのは、偶然のタイミングからでした。不動産業者に電話をかけたその時、ちょうどキミトオン島の物件情報が公開される直前でした。岩場の美しい海岸線を目にした瞬間、2人は心を奪われ、その場で購入を決断しました。
広さ1.5ヘクタールの海沿いの土地は、自宅から車で1時間もかからない距離。昨年の春に完成したヴィラでは、現在エリサとトニ、子どもたちのミカエラとレオの4人で自然に囲まれた穏やかな時間を過ごしています。
海の見える完璧な別荘
家族が望んだのは、海を一望できる3ベッドルームのログハウスです。特にこだわったのが、海に面した壁を全面ガラス張りにすることでした。柵や格子が視界を遮らないデザインを追求したのです。
ログハウスメーカー複数社から見積もりを取った結果、窓の技術要件をクリアできたのはわずか数社。家族が選んだのが、構造材として壁を支える縦柱付きの「ホンカ・ランドスケープ・プラス・ウィンドウ」を提案したホンカでした。
施工は地元の企業に頼み、工事は2023年に始まり、予定通りスムーズに進行しました。
家は岩盤の上に建てられました。ログフレームに直接据えられた基礎柱に支えられ、ヴィラはほぼ完成し、現在はプライバシーを守る木製フェンスの取り付けを待つばかりです。
ホンカ・デザインサービスとの設計
ヴィラの基本設計はエリサとトニ自身が描いたものをベースに、ホンカのデザイナー、マルコ・レヘトネンとともに作成しました。住空間は約112㎡。サウナはあえて母屋には設けず、海辺に独立したサウナキャビンを建てました。
建物自体がすでに印象的なデザインですが、この別荘を“群島の宝石”たらしめているのは、まさにそのインテリアです。インテリアデザインはエリサの趣味であり情熱。まるでプロの手によるかのような完成度を見せています。
空間を彩るユニークな選択
主寝室にはリビングと同様、床から天井までの一枚ガラスの壁を設置。最大天井高は3.5mあります。天井には幅の異なる5種類のパネルを使い、大胆に黒で仕上げました。
室内は、カラーと素材のバランスが秀逸です。黒い天井、濃紺の家具、ピオニー色の寝室キャビネット、レモンイエローのソファ、どれも一見すると派手な組み合わせながら、全体として調和が取れています。キッチン横には特注のオーク材の丸テーブルが置かれ、同じ職人が仕上げたバーカウンターで、家族はバースツールに腰掛けて朝食を楽しんでいます。
インテリアはモダンなシンプルさの中に、フィンランドらしい温かみのある要素が散りばめられています。大きな暖炉にカーテンが揺れるベッドルーム。リビングの窓には電動ロールブラインドが設置され、暖炉はユニークなモルタル仕上げがされています。トイレの黒壁にはエリサ自らが絵の具で模様をつけ、アーチ型の鏡を配しました。
敷地内のサウナキャビンには、青のユーティリティルームに続くガラス張りのツインシャワールームがあり、真鍮のボウルにハニーゴールドの水栓は、まるで高級スパのような空間が広がります。
美しいディテールが光る空間づくり
夫婦は、室内が暗くなるリスクがあることを承知の上で、ヴィラの天井をブラックにすることを希望しました。実際には、天井高が最大3.5メートルあり、床から天井までの大きな窓からたっぷり自然光が入るため、室内は明るさをしっかりと保っています。天井には幅の異なるパネルを使用し、エリサとトニが事前に綿密に配置を計画しました。
キッチンはフィンランドのメーカーとのコラボレーションで実現。ベースカラーはダークグレーで、ワークトップ上の吊戸棚には明るい色合いのバーチ(白樺)ベニヤの扉を採用しています。キッチンアイランドには、存在感あるセラミック製ワークトップを使用しています。壁面収納は床から天井までたっぷりと設けられており、機能性とデザイン性を兼ね備えた空間に仕上がっています。
建築データ
• デザイン:オーナーの希望をベースにホンカ・デザイン・サービスと共同開発
• ログ材:Honka Fusion FXL 204mm、ゼロコーナー仕様、スプルース材
• 延床面積:121㎡(居住面積112㎡)
• 間取り:寝室3部屋、オープンキッチン、ダイニング・リビング、トイレ、バスルーム、ユーティリティルーム
• 建設地:フィンランド キミトオン
• 竣工年:2024年